TSA活動レポート
【東京2020インタビュー#4】柔道・深見利佐子さん
掲載
東京2020オリンピック・パラリンピックに出場した本学アスリートの皆さんに、東京大会の感想や今後の目標、後輩の皆さんへのメッセージなどをお伺いしました。
第4弾は深見利佐子さんです。ぜひご覧ください。
柔道 タイ代表
深見 利佐子 Risako Fukami
人間総合科学研究科 世界文化遺産学専攻3年/人文文化学群人文学類2016年度卒
<主な競技成績>
2018.8 アジア競技大会 柔道 女子52kg級 銅メダル
2021.8 東京オリンピック 柔道 女子52kg級出場( 1回戦敗退)
女子52kg級1回戦(写真:本人提供)
―初めてのオリンピックの舞台で戦った感想は?
これまでの人生の中で最も緊張した瞬間であったと共に、畳に上がった瞬間に「ほんとに夢が叶ったんだ」という感動が混じり合った言葉では表現し難い感情でいっぱいでした。
―深見選手にとって、東京2020オリンピックはどのようなものでしたか?
稽古と研究の両立においてこれまでに感じた苦しかったことなどの全てが嬉しさや高揚感に変換され、時間は掛かりましたが、途中で止めることなくコツコツと頑張ってきたことは必ずいい形として報われるということを教えてくれた、私の人生の中において最も特別な意味を持った大会でした。
―日本開催の五輪に、タイ代表として出場できたことへの想い
私には愛する家族がタイにも日本にもいます。愛する家族を幸せにすることが私の人生における一つの目標です。
生まれた国であるタイの国旗を胸に、私が柔道を始めた日本のさらにオリンピックの畳の上で柔道ができたことは、私だけでなく両方の国の家族を幸せにすることができたんじゃないのかなと思います。これは東京オリンピックであったからこそできたことだと思います。
―東京2020を見据えて柔道を続ける中、大学院へ進学し、オリンピックを目指し出場されたことの意義をどう感じていますか?
やりたいことや夢はいくつあってもいいと思わせてくれたのが筑波大学でした。
全ての夢や本当にやりたいことは、自分自身次第で達成させることができるということを証明できましたし、今後の人生において何か新たなものに挑戦するときに自身のモチベーションになると思っています。
―「世界文化遺産学専攻」で研究されている深見選手。自身の研究活動が競技活動にも活かされていると思うことはありますか?
現在は、博士後期課程で歴史的煉瓦造の文化財に見られる劣化に対しての新たな保存処理方法の開発に取り組んでいます。
研究内容などは特に競技とは関連性がないのですが、研究を丁寧に行い、抱いた疑問に対して解決策を模索するという姿勢は柔道に対する向き合い方においても活かすことができたと思います。
―今後の目標や夢
柔道に関しては東京オリンピックを目指し始めた3年前からオリンピックで引退をし、もう一つの夢である研究者として社会に役立つ研究を行うということを決めていたので、今後の目標は博士号取得とより興味深く社会のニーズにあった研究を行うことです。
―最後に、筑波大学の後輩たちへメッセージをお願いします!
私は学群時代、全国大会にも出場したことはありませんし、輝かしい成績もありません。学業に関しても1、2年生の頃はBやCが目立った成績でした。
高い目標を立て、それに向かって前進する過程で何度もうまくいかないことが長く続きましたが、私はいち早く気持ちを切り替え、自分に合った方法で目標達成に向けて地道にやるべきことをやるという術を学生時代に身に付けることができました。
今は良い成績が出ずとも、自分を信じて頑張り続ければきっと良い結果が付いてきますし、少なくとも自分に自信を持つことができます。どんな夢でも、夢を持つことは素敵ですし、その夢を誇りに思ってほしいです。夢が叶った将来を想像すれば本当に夢は叶います。皆さんの抱いた夢が実現することを願っています。
東京五輪の選手村にて(写真:本人提供)