TSA活動レポート
【東京2020インタビュー#7】パラカヌー・瀬立モニカさん
掲載
東京2020オリンピック・パラリンピックに出場した本学アスリートの皆さんに、東京大会の感想や今後の目標、後輩の皆さんへのメッセージなどをお伺いしました。第7弾は瀬立モニカさんです。ぜひご覧ください。
カヌー/女子カヤックシングルKL1
瀬立 モニカ Monika Seryu
体育専門学群4年
<主な競技成績>
2016 リオパラリンピック KL1 第8位
2017 ワールドカップ 第3戦(セルビア) KL1 優勝
2019 世界選手権(ハンガリー) KL1 第5位/VL1 優勝 →東京パラリンピック内定
2021 東京パラリンピック カヌー女子KL1 第7位
―二度目のパラリンピックの舞台で、予選・準決勝・決勝と3本戦った感想は?
今回、自分が目標としていた結果に届かず、とても悔しい思い出となった東京大会でした。
予選は前日から気温が10℃以上下がり、また雨も降っていていつものルーティンでのアップを敢えて選択しなかったことでレース中盤以降に身体が固まってしまい失速が大きかったです。準決勝/決勝は、予選から中一日で気持ちの切り替えやレースに対する不安が拭いきれませんでした。特に準決勝ではスタートは決まったもののメンタル面で大きく課題を残しました。決勝では得意のスタートで海外勢に対してリードすることが出来ず7位という結果に終わりました。
無観客ではありましたが、総じてコロナ禍において大会が開催されたことに対する感謝の気持ちが強かったです。
―瀬立選手にとって、東京パラリンピックはどのようなものでしたか?
高校一年生で怪我をして車椅子生活になってから、生きる希望、象徴、シンボルのようなものでした。全てをカヌー第一優先に考えて行動してきました。
今回はコロナ禍での開催ということもあり、改めてスポーツの価値について考える機会をもらったと感じています。また考え直すきっかけをもらったことで、より自分の価値やスポーツとの関わりについて自分の考えを得られたと思います。
(開会式でパラリンピック旗ベアラーを務めた瀬立さん:右前方)
―自国開催、更に地元の江東区会場ということで特別な強い思いで臨まれていたと思います。リオ大会と比べて、ご自身の精神面や周囲の反応など、どのような違いがありましたか?
リオ大会とは比べものにならないほど沢山の方々から応援のメッセージや、路上で声をかけていただきました。メディアの取材依頼も沢山あり注目していただいていることは、とても幸せであると感じました。その注目は決してプレッシャーになった訳でなく全てプラスの方向に働いていたと思います。
―瀬立さんが、パラリンピックを目指し、パラスポーツに挑戦し続ける理由は?
全世界の人々の可能性を広げるため。
(準決勝にて)
―大学1年でリオパラリンピックへ出場後、筑波大学へ通いながら東京2020を目指した意義をどのように感じていますか?
授業で学んだことをすぐに自分のトレーニングや動作に活かせることは、学生選手として本来あるべき姿であると考えています。その中で私は競技に集中するため(大学近くにはカヌーの練習環境が無いこと、人的サポート等含め)休学という選択をして競技と両立してきました。
社会に向けて何かを発信するときに、科学的且つ論理的に社会的背景を含めながら社会に訴えかけられることは筑波大学に通っていたからこそ出来たことです。そして、大学内にある研究施設を活用しながら測定して自らの競技力向上に活かせることはこの上ない幸せです。
―自身の研究活動は、競技活動へどのように活かされていますか?
私は自らの睡眠について研究していますが、コンディショニングのデータとしてより練習を含む競技の質に良い影響を与えています。
(決勝 大きくタイム短縮し7位入賞)
―今後の目標や夢は?
まずは卒論を無事に提出させること!そして東京大会でメダルを獲得することが出来ず、その結果また出直すことを決めたので、パリ大会でのメダル獲得を競技目標とします。
卒業後は医師の道に進むため、競技活動とともに受験勉強をスタートします。沢山の人たちに夢や希望を与えられるような、またパラアスリートの新たなロールモデルとなれるような人生を歩んでいきたいです。
―最後に、筑波大学の後輩たちへメッセージをお願いします!
遠くから見るエメラルドグリーンの海は近くで見るとただの透明な水です。
今、筑波大学という素晴らしい場所で学べていることに感謝し、自らの信念をしっかり持って学生生活を謳歌してほしいです。
(決勝進出を決め 応援席に向かって)
パラカヌーとは
▶カヌー競技紹介(NHK)
▶【ハイライト動画】瀬立モニカ 地元で7位入賞 | 女子カヤック シングル KL1(運動機能)決勝(NHK)