12月25日(日)にヨドコウ桜スタジアムにて、全国大学選手権大会の準々決勝である東海大学戦が行われました。
VS東海大学 20-17 WIN
レビュー担当:目崎啓志(ヘッドFWコーチ)
〈試合総評〉
「筑波大学は上位校といい勝負をするね」
これは、近年筑波が対抗戦でよく言われ続けた言葉でした。
試合後の会見で嶋崎監督や木原優作(体育4年・東福岡)が語った内容が、この褒め言葉のようで一番悔しい言葉に対してチームが一丸となって挑み続けたことを物語っていたと思います。
12月25日、クリスマスに行われた大学選手権準々決勝。
2014年以来のベスト4がかかった東海大学と大阪:ヨドコウ桜スタジアムでの対戦となりました。
試合当日、選手たちのロッカー内の雰囲気は過度な緊張感はなく、リラックスしながらそれでいて集中した空気が流れていました。
試合前、グラウンドに出るとメンバーだけではなく、応援メンバーたちもつくば市からバスに乗り、応援に駆け付けてくれており、ウォーミングアップからいい空気を作り出し、まさにチーム全体で戦っている空気を感じながらいい準備ができたと思います。
試合が開始され、筑波としては前半からアタックでもディフェンスでも今年掲げた「バチバチ」を全開にして戦いました。
白栄(体育3年・高鍋)のトライで幸先よく先制点を決めることができましたが、そこからは東海大学の粘り強いディフェンスに苦しめられることになりました。
FWコーチとしても、武器であるはずのラインアウトでのミスやスクラムでのペナルティなど上手くいかないところは反省点としてあげられます。
しかし今シーズンは下級生から経験を積んでいた木原、肥田(体育4年・春日丘)、八木澤(体育4年・流通経済柏)、楢本鼓(人文4年・修猷館)だけではなく、倉崎(体育4年・筑紫丘)や横溝(体育3年・福岡)、本郷(理工2年・千葉)ら昨シーズンまでなかなか出番に恵まれてこなかったメンバーの成長があり、スクラムでピンチを切り抜けるなど、留学生を擁する東海大学FWに対して一歩も引かなかったことは、対抗戦からやることを貫いてきたからだと思います。
前半の決定機を決めきれず、風上の前半を7−0で折り返すことになりました。
ハーフタイムのロッカーでは、消耗も見えましたが全員がバチバチを体現するかのように、より集中力を高めるような話し合いが行われていました。
後半、風下となりまず一番チームを助けたのは、苦戦が予想されたキックでの陣地の取り合いに対して楢本幹(体育1年・東福岡)と髙田(体育3年・浦和)を中心として1歩も引かずに対等に渡り合ってくれたことでした。
※ラグビーは「陣取り合戦」と言われることもあるように、陣地の位置がプレー選択に大きく影響するため、風上の方が一般的に有利とされています。
風下の厳しい状況の中でもしっかりとキックを蹴り込み、大畑(体育2年・東海大仰星)や濱島(体育1年・福岡)が何回もスプリントをしてプレッシャーをかける。そしてマイボールは積極的に堀(体育2年・春日丘)と松島(体育4年・大分舞鶴)を中心に動かし、前に出ることが出ていました。
対抗戦ではなかなか噛み合わないところが、対抗戦と天理大学戦を経て噛み合い始めた試合運びとなりました。
ただ、噛み合った中でも東海大学のディフェンスとアタックが脅威となり、途中で相手がシンビン(一時退場)をしているにも関わらずスコアを逆転されてしまいます。
しかし、そのような嫌な流れを引き戻したのはディフェンスでした。
筑波大学が今まで大切してきた根幹の部分をさらに進化させてきたのが、木原組であり「バチバチ」でした。
DFのブレイクダウンを幾度となく超え続けて、ボールを取り返し、そしてキャプテンの執念の同点トライ。すぐに起き上がれないくらい消耗をし続けた木原の同点トライに場内はこれでもかというほど、湧き上がりました。
その流れのまま相手のミスボールを拾い上げ、連続攻撃を繰り出します。
最後はギリギリの判定となりましたが、東海大学のペナルティー。
このキックを高田がしっかり決め切り逆転。この時点で残り3分。
そこから東海大学の激しい気持ちの入ったディフェンスを受けましたが、何とか逃げ切りタイムアップ。恐らく、敵味方関係なく最後の10分間は寿命が削れたのではないかと思います。笑
試合を通して、FWとBKがお互いを助け合いながら持っているものをしっかりとぶつけることが出来た試合になったと思います。
メンバー/応援メンバー関係なく選手たちが4年生を中心に自分たちを信じてやり抜いてくれたことも、我々スタッフのことを信じてやり抜いてくれたことも感謝です。
目標の日本一まであと2つ。
次の帝京大学戦。
この試合以上のバチバチを国立の舞台で魅せてくれると思います。
選手もスタッフもバチバチです!
是非、会場まで駆け付けて熱いご声援のほど宜しくお願いいたします。
(新国立競技場は寒いようなのでばっちり防寒をしてきてください!)
〈印象に残ったプレー〉
木原優作(体育4年・東福岡)のピックゴーにおける同点トライです。
一瞬孤立したプレーとなりましたが、疲弊しながらもねじ込んでくれたあのプレーはチームを背負うキャプテンとして満点のプレーでした。
〈MOM〉
全員!と言いたいところですが、それは日本一まで取っておきます。
今回は木原優作(体育4年・東福岡)を選出します。
筑波のグラウンドでやり続けたことを先頭に立ってやり続けたこととスクラムでの働きを評価してMOMとします。
〈木原優作(体育4年・東福岡)のコメント〉
天理大学戦を終えてからの2週間、東海大学に勝つための準備を試合メンバーだけでなく、全員でタフにやってきました。
東海大学戦に向けて、FWでは「Trust」という言葉を掲げて試合に挑みました。まずは信じることから。仲間を信じて、筑波を信じてやりきった後に結果として現れる。私は、この言葉を胸に、普段の練習一つひとつのプレーから仲間たちを常に信じてやってきました。
試合中はとにかく仲間を信じていつも通りプレーするだけでした。東海大学に3トライを奪われて逆転を許した時間帯もありました。しかし、グラウンドにいる全員は筑波が勝つことを疑っていなかったと思います。それが東海大学のゴールキックへのプレッシャーやキックのチェイスなど、全てのプレーによって体現され、グラウンドにいる全員が最後に逆転するビジョンを共有できていたことがこの試合を勝てた要因だと思っています。
個人的には試合終盤、東海大学のカウンターからターンオーバーをして逆転のペナルティゴールに繋がった場面では、4年間、嶋﨑監督のもとでブレイクダウン、接点の練習を信じてやってきた甲斐があったと身に沁みて感じました。
1月2日、国立競技場でも筑波大学はバチバチ行きます。次戦も応援よろしくお願いします。
レビュー編集担当:西舞衣子