University of TSUKUBA Sports Association Trainer Team

第22回TSAトレーナーセミナー報告

テーマ:活動レポート

『アスレティックトレーナーから医師への転換~医師になってわかったこと~』

本企画は2020年2月の開催が決定していました。しかしながら直前に新型コロナ感染症の世界的なパンデミックとなったために一時延期となり、2年を経てようやく実施することができました。

 講師の大岩孝子先生は体育専門学群OBで学群生時代からトレーナーの活動をされており、大学院では解剖学を専攻しながら女子バスケットボール実業団チームの専属トレーナーの職に就き、その後は日本スポーツ協会(当時は日本体育協会)公認アスレティックトレーナー資格も取得されるなど、スポーツ医学を武器にご活躍されていました。

 医師の道へ進むことを考えるきっかけとなったのは、バブル崩壊による実業団チーム存続の危機、現場で求められるアスレティックトレーナーへの治療的技能への限界、職業として確立していないがための不安定さや低報酬、などの複数要因があったと伺いましたが、救急科を専門とした理由は、何をやりたいかよりも“誰についていけるか”で判断したというエピソードに、大岩先生らしさがあるように感じました。

 後半は[救急医療の目的]・[医師の限界]・[スポーツ選手は特別?]などの項目別にお話しくださり、医師となった今だからこそトレーナーやスポーツドクターを目指す学生に伝えたい正直な内容でした。学生達にも強く印象に残った事が、事後アンケートの回答にも表れており「現場でのトレーナーとしての見方と医師としての見方の両方について話を聞くことができ、選手と医師の間を繋ぐというトレーナーの役割について知れて良かった。」や「トレーナー・選手の立場がわかるからこそ、医療現場では命が最優先でスポーツに理解がある医療機関は限られている、というような事をこっそり教えていただけてとても勉強になりました。」などの意見が寄せられていました。

 ご講演の最後には「医師・医療機関との信頼関係を構築していきながら、アスリートの特殊性を理解してもらうこと、そして選手と指導者と医師(医療機関)らのコーディネーターとしての役割をトレーナーが担って欲しい。」と、TSAトレーナーセミナーを締めくくる言葉を学生たちに残してくださいました。また様々なキャリア選択をされてきた際の考え方として「他人を変えるのは難しいが、自分を変えることはハードルが低い。勉強も進学も自分の選択肢が広がる経験だと思う。何でも面白いなと感じたことや目の前の事をやってみて進んできただけ。」という言葉は、本企画の大きな副産物となりました。

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